場所文化とは

「場所」とは土地や自然のこと、「文化」とは人とその知恵のことです。二つが融合して形成される固有の価値、すなわち、その土地の言葉、景観、料理、習慣、祭祀等のことをわたしたちは場所文化と呼んでいます。

四季が豊かな日本には古来から、花見、もみじ狩り、月見など、うつろいゆく季節の中でそれぞれの場所が見せてくれる特別な瞬間や、その土地その土地の季節の食材という「旬」を楽しむ習慣がありました。自然(=場所)と人(=文化)の関係の中に質の高い時間を見出し、楽しむこと。ここに場所文化の本質があります。そして、モノを多く所有するのではない、真の「豊かさ」はここにあります。日本人は場所文化を楽しむことを通して「自然に感謝する心」や「環境を大切にする意識」を育んできたのです。

しかし、日常に当たり前に存在する場所文化はそれゆえに価値を見誤られ、失われたものも少なくありません。

また、地域毎の「違い」を「個性」ととらえるのではなく「劣っている」ととらえる傾向が、日本全体の没個性化を招いてきました。

場所文化が失われるということは地域固有の価値が失われることであり、その損失は例えば「市町村合併により地域の名称が失われる」といったことよりももっと本質的で深刻です。

私達は、一人一人が自分の住む場所の個性を大切にし、その場所で質の高い時間を楽しむことから、場所文化を再生していくことが必要と考えています。

 

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